Nの視点〜俳優界のマルチの話〜

Nの視点です。 俳優活動の中で参加した「映画塾(シネマ塾)」、「経済塾」という勉強会からマルチレベルマーケティングに勧誘された経験を綴ろうと思います。 マルチレベルマーケティングへの参加を否定するためではなく、自分の体験と意見をインターネット上に残すことで、勧誘された方の判断材料にして頂くためにブログを開設しました。 どうぞよろしくお願いします。

マルチにおける「信頼関係」の作られ方と壊れ方

こんにちは、Nの視点です。

今回は、マルチ商法における「信頼関係の構築と崩壊」について掘り下げていきます。

マルチ勧誘では、最初から商品の話やビジネスの話が出ることはほとんどありません。多くの場合は「自己啓発」や「夢を叶える方法」など、もっと柔らかいテーマから関係が始まります。

その中で“信頼”がどう築かれ、どう壊れていくのか。そして、自分が誰かを勧誘する立場になった時、どのようにその信頼を自ら損ねてしまうのか――今回はその仕組みを見ていきましょう。

 

目次

 

信頼は「夢」と「希望」から始まる

マルチ商法では、勧誘相手との信頼を育てるために「夢」や「理想の人生」といった前向きな話題が多く語られます。

「将来は自由に生きたい」「親孝行したい」「お金の心配をせずに生きたい」――そんな誰もが抱く願望をきっかけに、講師や“師匠”と呼ばれる人物が語る成功談へと話が進んでいきます。

過去の記事「Amwayで語られる“運”と“引き寄せ”の本当の関係」でも触れましたが、こうした場では「夢を叶えるには運が必要」「運を上げるには良いことをしなければならない」といった言葉が頻繁に登場します。

この“良いこと”とは、しばしばAmway商品を使うことや、それを周囲に広めることを意味します。つまり「良いこと=勧誘と購買」という構造です。

このように、信頼は“夢を共に追う仲間意識”の中で育まれていきます。最初は純粋な共感から始まるため、疑いを持ちにくいのです。

 

「信頼関係」を装った上下構造

次第に“師匠”と“弟子”というような関係が生まれます。

「シネマ塾」「未来塾」などのセミナーでは、講師が成功者の言葉を引用しながら「信じれば必ず叶う」「素直に実践することが大事」と説きます(参考:野澤昌且氏の指導構造と師匠文化)。

この時点で信頼は「対等な人間関係」から「上下関係」へと変わり、相手の言葉を疑わずに受け入れるようになります。

ここで重要なのは、“信頼”が“支配”にすり替わる瞬間があるということです。

勧誘する側は「相手のためを思っている」「幸せになってほしい」と本気で信じています。

しかしその信念こそが、相手にプレッシャーや罪悪感を与え、「断れない関係」を作り出してしまうのです。

 

「夢を叶えるには運が必要」――その裏にある罠

Amwayの世界では「夢を叶えるには運が必要」「運を上げるには良い行いが必要」という言葉が繰り返されます。

この“良い行い”の定義は、次第に変化していきます。最初は「人を笑顔にすること」「ポジティブな言葉を使うこと」といった抽象的な内容ですが、最終的には「Amwayの商品を広めること」「師匠の言葉を信じて行動すること」へとすり替わっていくのです。

さらに厄介なのが、「運が下がる行為」まで具体的に刷り込まれること。

「水道水を飲むと波動が下がる」「食品添加物を摂ると運気が悪くなる」などの主張が出てきて、それを避けるためにAmway製品を使うよう促されます(参考:“四毒”思想と不買デマの構造)。

結果的に、運や信頼をテーマにした“善意の教え”が、購買行動や勧誘行動へと結びつけられてしまうのです。

 

信頼が壊れる瞬間

こうした関係に違和感を抱くきっかけは、案外小さなことから始まります。

「なぜ師匠は本名を出さないのか」「なぜいつも“今行動すべき”と急かすのか」「なぜ成功者なのに、毎週のようにセミナーを開いているのか」――。

こうした矛盾に気づいた瞬間、信頼の土台が揺らぎ始めます。

特に、「成功しているはずの人たちが、なぜいつまでも同じセミナーに参加しているのか?」という疑問は、現実を見抜く大きなヒントになります。

本当に成功している人であれば、そこから卒業し、自分の時間を自由に使っているはずです。

しかしマルチの世界では、成功したとされる人が永遠に“成功法則”を語り続けます。

これは“信頼関係を保つこと自体が目的化している”状態であり、実際の成果とは関係がなくなっているのです。

 

「信頼を武器にしないために」

信頼は本来、人と人とが支え合うために存在するものです。

しかし、マルチ商法のような構造の中では「信頼」が“他人を動かすための道具”に変わってしまいます。

そして、自分が誰かを勧誘する立場になった瞬間、その信頼は“壊す側”に回ってしまうリスクがあります。

自分の夢や信念を語ることは悪いことではありません。

ただし、それを“運”や“商品”や“組織”と結びつけてしまうと、いつの間にか本来の目的――「信頼を築くこと」「大切な人と関係を続けること」――を失ってしまうのです。

 

まとめ

マルチにおける信頼関係は、最初は「夢を共有する仲間意識」から始まります。

しかしその信頼は、いつしか上下関係や義務感に変わり、最終的には支配や洗脳の構造に転化していきます。

「夢を叶えるには運が必要」「運を上げるにはこのビジネスを」――この流れに乗ってしまうと、夢を叶えるために最も大切な“周囲の信頼”を失うことになります。

そして、その信頼を失ったとき、どんなに商品を売っても、どんなにセミナーを受けても、誰の心も動かせません。

信頼とは、売るための道具ではなく、生きるための基盤です。

そのことを忘れないでいてください。

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